内視鏡検査と胃カメラ・大腸カメラ検査の違いと解説
検査の違いと解説
内視鏡検査と胃カメラ・大腸カメラ検査は何が違う?
胃カメラや大腸カメラ、内視鏡検査の
違いやそれぞれのメリットが分からず気になっている方も多いのではないでしょうか?
内視鏡も胃カメラもバリウム検査も、胃の中を観察する方法という点では同じものですが、その点を除いては厳密な違いがあります。
こちらでは、内視鏡や胃カメラの違い、同じ胃の中を検査する方法の一つであるバリウム検査についても解説します。
内視鏡検査とは?
内視鏡検査は、先端に超小型ビデオカメラのついた約1cmの太さの管で、胃や大腸の中を観察する検査です。ビデオカメラで撮影されると、光ファイバーにより、映像(光)を伝送してリアルタイムでモニター画面に映し出されます。管には、水が通る孔や組織検査をする細い器具が通る孔が空いており、胃や大腸の粘膜を水で洗ったり、組織を採取したり、止血処置をしたり、と、様々なことが可能です。
大腸カメラとは?
大腸カメラとは、正式には下部消化管内視鏡検査と言われ、内視鏡検査の一種です。先端に超小型ビデオカメラのついた管をお尻(肛門)から挿入し、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸、虫垂孔などを観察します。大腸粘膜を観察することにより、炎症やポリープ、腫瘍、がんなどの有無を調べることができます。バリウム検査では困難な、色調変化、平坦な隆起やごく浅い陥凹にとどまる程度の早期がんの発見も可能なほか、そのまま病理検査のために生検(組織を取ってくること)することも可能です。
胃カメラとは?
1950年代に日本の企業であるオリンパス社が最初に実用化しました。当初の「胃カメラ」は、先端に小型のスチルカメラと小型ランプを取り付けたもので、胃に到達したと思われる頃から撮影をし始め、検査終了後に現像をして画像を確認する、というもので、リアルタイムに観察することはできず、組織検査なども不可能でした。
内視鏡検査と
胃カメラの違いは?
厳密には、内視鏡と胃カメラは別のものですが、胃の中を観察するという点においては同じ機能を備えています。
上述したように、胃カメラはあくまで写真撮影を行い、現像して確認を行います。そのためリアルタイムでの確認は出来ません。
内視鏡とは、光ファイバーにより、映像(光)を伝送して、モニターに映すことができるように改良された装置(ファイバースコープ内視鏡)で、
リアルタイムでの確認をしながら、胃や大腸の粘膜を水で洗ったり、組織を採取したり、止血処置をしたり、と、様々なことが可能です。現在は、広い意味で同じ検査をだと認識して頂いて良いでしょう。
バリウム検査とは?
バリウム(白い液体)は、造影剤の1つで、X線(レントゲン)で撮影すると白く映ります。胃や腸管は、X線が透過してしまうため、そのままレントゲン撮影をしても観察は非常に困難です。バリウムを用いると、バリウムが胃や腸管の凹凸に溜まることにより影が生まれ、胃の状況を撮影することが可能になります。
バリウム検査の
メリットとデメリット
バリウム検査のメリットとしては、医師のほか、放射線検査技師も検査が可能で、検査費用も安い点が挙げられます。
バリウム検査では、胃や腸管の出血や穿孔(孔があくこと)などのリスクがありません。
このため、スクリーニング検査としては有用と言え、胃の健診で広く用いられています。
バリウム検査のデメリットとしては、バリウム検査は影絵のため、小さな隆起が疑われた場合、それが、粘膜の付着物なのか、ポリープや腫瘍なのかを確認できません。また、組織を採取したり、止血したりすることができません。あくまで観察する手段のため、バリウム検査で異常が見られた場合、改めて、内視鏡検査をする必要があります。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)とバリウム検査、
どちらの方が良い?
上述したように、バリウム検査は検査費用の安さやリスクの少なさなどのメリットがあるとお伝えしました。
また、ひと昔前の内視鏡検査装置は、画像が暗く、画質も悪かったなどの理由もあり、早期癌の発見率は、バリウム検査と内視鏡検査で大きな差がなかったことで、広く用いられてきました。
しかし現在では、内視鏡検査装置の画質が格段に改善され、バリウム検査では発見できない早期癌が内視鏡検査で発見可能になってきました。検査で用いたバリウムが排泄できずに腹痛や下血を起こすこともあり、バリウム検査が必ずしも安全とは言えません。X線による撮影検査のため、被爆の問題もあります。また、バリウムを胃や腸管にうまく付着させるために、検査台の上で、左を向いたり、右を向いたり、上を向いたり、下を向いたりなど、患者・受信者様ご自身で動く必要があり、動くのが大変な方にとっては、かえって辛い検査とも言えます。さらに、バリウム検査のデメリットにも挙げたように、胃に異常が見つかった場合は、改めて内視鏡検査を実施することになります。
一方内視鏡検査は、医師しか検査ができず、検査費用も高いというデメリットがあります。また内視鏡検査では、胃や腸管の出血や穿孔(孔があくこと)などのリスクがあるのも事実で、必ずしも絶対安全という検査・手技ではありません。
しかし、なんらかの偶発症による死亡例では、上部消化器内視鏡検査では0.0002%以下と非常に低い数値が報告されています。早期癌などの病気をいち早く発見し、早期治療を行う上では、内視鏡検査を実施することをお勧めいたします。
内視鏡検査の実績・経験
院長は、大学病院の消化器内科勤務時代には、上部・下部・治療をあわせ、年間1500件以上の内視鏡検査に携わり、がん研有明病院健診センターの医長時代には年間2500件ほどの内視鏡検査に携わるなど、多数の検査に携わってきました。また、熟練を要する内視鏡による総胆管結石の治療や早期胃癌の粘膜剥離手術などにも携わっていました。
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